アラスカ

フィヨルドに囲まれた海に遊ぶシャチ、協力してエサを採るザトウクジラの群れ、川を遡上するサケ、そのサケを漁るクマ……自然を撮る写真家にとって、アラスカほど魅力的な場所はない。だが、著者が毎年のようにそこを訪れるのは、単に豊かな動物相のためだけではない。そこは著者の活動の原点であり、人々との出会いによってその手法が研ぎ澄まされていった場であり、また人と自然がなんとか折り合いをつけようとしている理想の風景でもあるのだ。同じくアラスカを愛した写真家である故・星野道夫との旅にはじまり、シャチやクジラを追いかける日々、取材の合間のひととき、チャーター船のキャプテンたちとの出会いまで、25年にわたるアラスカ取材の思い出を写真とともに辿るエッセイ。