デットフォードのネズミたち 1 闇の入口 1
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ロンドン郊外のデットフォードでは、空き家に住むネズミの群れが、春の大祭りの準備に余念がなかった。緑と豊穣の神グリーンマウスが成人したネズミに真鍮のおまもりをさずけるこの祭りは、年に一度の大イベントだった。だがそのさなか、アーサーとオードリーの兄妹は、行方不明になった父アルバートの身を案じていた。
じつはアルバートは、空き家の地下室からつながっている下水道にまよいこんでいた。そこはドブネズミのごろつきどもが巣くう闇の世界で、どこからともなくあらわれた冥王ジュピターが君臨して以来、ネズミたちにとって地獄と化していた。つかまれば、皮をはがれてくわれてしまうのである。
闇のなかをさまようアルバートは、同様に道にまよってしまったわかい町のネズミ、ピカディリーと出会う。やがてふたりは、ドブネズミたちに命令をくだすジュピターの声を聞く。ピカディリーをすくうため、アルバートは身をていしてにげ道をつくり、持っていたおまもりをピカディリーにたくす。
アルバートのむすめオードリーは、父の行方の手がかりをもとめて、地下室に足をふみいれる。そしてそこで、にげてきたピカディリーと出くわす。父の最期のようすを聞き逆上したオードリーは、かれをうらぎり者となじり、ひとり下水道をかけだす。あとを追うピカディリー。さらに、オードリーをさがす兄アーサーや、その友人で、母親の過保護のせいで図体ばかりは大きいもののおくびょうな白ネズミのオズワルド、そのいとこで、のんびりした性格から少々たりないのではないかと思われている野ネズミのトウィットらも下水道へ向かう。やがておたがいとはぐれてしまったかれらは、それぞれ危機に立ち向かうことに……
シンプルなプロットながら、つぎつぎと思いがけないできごとが起こり、読者をあきさせない。クライマックスの派手なアクション・シーンや、適度にぶきみで残酷な場面なども、興味を引く。キャラクターもそれぞれに個性的でおもしろく、成長していくさまも見ごたえがある。
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