サマーランドの冒険 上
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母親がなくなり、飛行船研究者の父親と二人ぐらしをしているイーサン。イーサンのいる野球チームは、彼のプレイのおかげで連敗中だ。エラーはもちろん、打席に立っても三振がこわくてフォアボールになるのをじっと待つばかりという、へなちょこぶり。
イーサンの住むハマグリ島は一年を通して雨が多いことで有名だが、野球場のある岬のあたり――サマーランドとよばれている――だけは、夏のあいだ雨がふらない。ところがある日、そのサマーランドに夏だというのに雨がふる。それは、世界が破壊されつつあることの徴候だった。
そしてある早朝、とつぜんキツネ男がイーサンの前にあらわれる。キツネ男の説明によると、世界はイーサンたちの世界(いわゆる人間界)をふくめて4つあり、それがある部分でつながっているというのである。そのうち1つの世界には、コヨーテという悪い妖精が魔法をかけて行き来できないようにしてしまった。残ったのがイーサンたちのいる世界ミドリングと、キツネ男や妖精のフェリシャーたちがいるサマーランズ、それにコヨーテのいるウィンターランズだという。コヨーテはそれらの世界をつなぐ場所をつぎつぎと破壊し、行き来できないようにして、すべての世界をほろぼそうとしている、そして救世主がイーサンだという予言を得たのでむかえにきたというのだ。
いっぽうで、コヨーテはイーサンの父親をさらう。彼の科学者としての才能を利用し、4つの世界をささえる木のそばにある泉を汚染して、世界を完全にほろぼそうとしているのだ。
イーサンは、父親を取りもどすため、世界をすくうため、友人で元気な女の子ジェニファー・Tと、自分を人型ロボットだと思っているトールとともに、コヨーテのもとに向かう。道中、心づよい妖精の味方を何人か得て、力を合わせて、つぎつぎ出てくるコヨーテの手下と野球で勝負をし、ついにコヨーテとの直接対決にこぎつける。はたして、世界の運命を左右するその試合のゆくえは……?
登場人物がひじょうに個性的で、躍動感にあふれている。それぞれが、自分の持つ悲しい過去に心がとらわれているが、自分の力を信じ、仲間たちを信じ、ひとつひとつ困難を乗りこえるうちに強くなっていくすがたが感動をよぶ。その代表となるイーサンが、ふつうの男の子であるため、読者は共感し、元気づけられるだろう。
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