名探偵カマキリと5つの怪事件
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第一話「消えたチョウの怪事件」
P・T・バナナムシひきいるサーカス団の花形軽業師、チョウのジュリアナ嬢がショーの真っ最中に姿を消した。彼女だけでなく、ここしばらくのあいだに、何十という美しいチョウたちが雲がくれしている。カマキリ探偵が、現場のステージに残されたねばねばした物質から、ジュリアナ嬢はサシガメにさらわれたことをつきとめ、バッタ博士と追跡をはじめる。しかしサシガメは手先にすぎず、おそろしいほんとうの敵がふたりを待ちかまえていたのだった。いったいなんのためにチョウたちはさらわれたのか? ふたりは無事に彼女たちを救いだせるのか?
第二話「おびえきった学者の怪事件」
くつろぐふたりのもとに、ねまき姿のナンキンムシが飛びこんできた。チャタテムシ教授のかかえる問題をなんとかしてほしいという。チャタテムシ教授の話はおどろくべきものだった。彼が研究資料として食べた『図解バグランドの歴史』に、スパイが暗号化した軍の最高機密が入っていたため、命をねらわれているというのだ。調査するうちに、スパイはなんと大使館につとめるタマバエであることが判明する。しかし彼はいままさに高飛びしようとしていた……
第三話「イモムシの頭の怪事件」
チャーリー・キノコムシが一億年前のイモムシの頭が入った琥珀とともに消えた。カマキリ探偵は調査を開始するが、おそろしいことに、キノコムシは靴をのぞいてすっかり食べられてしまっていたことがわかる。犯人はシロアリだ。次に琥珀を手に入れたメミズムシもまた、琥珀とともに姿を消していた。カマキリ探偵はバッタ博士とともに、シロアリの宮殿があるバナナランド王国にのりこむ。アリノスハネカクシの案内でジャングルをかきわけて着いた宮殿の大広間には、大切にかざられた琥珀と女王アリ、そして玉座にすわるメミズムシの姿があった。
第四話「首なし怪物の怪事件」
退役軍人のシミ大佐の屋敷には、最近首のない怪物が出るという。ふたりは列車で屋敷に向かった。そして屋敷に着いたその夜、バッタ博士も怪物を目撃。怪物が出るときはかならず、口笛やハーモニカをふいていたり、歌っていたりしたという共通点があった。その怪物の正体と、悲しい秘密とは?
第五話「王冠盗難の怪事件」
バグランド王国の王冠がなにものかにぬすまれた。エンマムシ警部の依頼を受け、カマキリ探偵は調査にのりだす。いっぽう、友人ナナフシに、バグランド王国には名探偵でも解けない3つの謎があるといわれたカマキリ探偵は、それにも挑戦する。宮殿を舞台に、消えた王冠とバグランドの3つの謎にせまる。
五十匹以上も登場する虫たちは一匹一匹が個性ゆたかにえがかれ、虫ぎらいでもつい引きつけられる。たんに舞台を虫の世界に設定しただけではなく、事件がそれぞれの虫の知られざる特徴にもとづいているのが興味深い。テンポのよい展開と巧妙に仕組まれた謎であきさせず読ませる、良質のエンターテインメント。シャーロック・ホームズが好きな子どもはもちろん、ミステリを読んだことのない子どもも夢中になるだろう。
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